パターのコツ

第6弾!

 技術のレベルアップ、この章ではいよいよパターについてお伝えします。
「ドライバーはショー、パターはマネー」と言われるように、スコアアップに最も重要なパターですが、最も厄介なんですよね。たかだか直径40ヤード(約36M)のグリーン上でボールを転がすだけですから、非力な子供でも女性でもカップに届かないなんてことはない。しかしプロでさえも悩みに悩んでパターを何本もとっかえひっかえ、挙句の果てにイップス病(悩みすぎて体が動かなくなる、硬直する状態)になったりするんですよね。それだけデリケートなクラブなのです。だからパターの種類も多種多様、打ち方も千差万別、何がいいのか誰の打ち方がよく入るのか、これはとても言い切れるものではありません。

 でもどうしてもこれだけはやったほうがいいというポイントを書きます。私はこれで相当パットの成功率がアップしました。皆さんにもきっと役立つと思いますよ。

パターのコツ

○ポイント1 寄せるのか入れるのかはっきりさせよう

誰だってボールがグリーンにのれば、1回のパットで入れたいに決まっています。しかしそう簡単にいかないのがゴルフ。1回で入れようと力むあまり、逆に2回目(2パット目)に難しい距離が残ったりするものです。グリーンにのった場所、カップの切ってある場所などを考えて決して3パット(パットを3回打つ)しないように寄せるなら徹底的に寄せることだけに集中してください。2ピン(約5M)以上なら寄せ、下りのラインなら1ピン(約2.5M)でも寄せに徹すべきでしょう。寄せる目安は40~50センチ以内くらいでしょうか。 写真

 私の場合、ソフトボールを下手投げでピンまで転がすような感覚、最近のゲームならペタンクなんかが近いですね、ただ芝の種類や傾斜によって転がり方が随分変わってきますので、練習場で充分チェックしてください。

そして入れる時は勇気を持って打ち抜く。
1ピン(約2.5M)以内なら絶対狙いにいくべきでしょう。でも入れようと思う気持ちが強すぎるとどうなるか?そう、必ずショートしちゃうんですよね。せっかく良いラインに転がっているのに、もう1転がりすれば入っているのに・・なんて悔いが残るパットがかなりありますよね。これが先ほど書いたイップス病の軽い症状なんです。筋肉が緊張で固まってしまうんですね。逆にショートし
ないように・・なんて強く思うと、ガツンと打って大オーバー。大事な試合などここ1番という時ほどこんなことになって、自己嫌悪に陥ってしまう。

 「そしたらどうするんや?」緊張するのは仕方がない。緊張してもなんとかまともに打てる方法を考えましょう。
緊張すると小さな筋肉が先に固まります。指先や膝が震えるのがその証拠です。
緊張している時に手や腕だけで打てば必ずトラブルになりますから、ドライバー編でも書いたように大きな筋肉を使う、すなわち肩の動きでパターを打ってみましょう。自分の気にいっているかたちで構えた時、臍(へそ)から下(下半身)はどっしり構えて絶対動かさない。上半身はリラックスしてアドレスする。さてここからが重要。パターを後ろに引く時、手首、肘の角度を変えずに首の付け根を支点にして両肩の動きだけで引く。そして両肩の動きだけでボールをヒットしてフォローをとる。その動きは首の付け根を中心にした振り子の動きと同じ要領になります。

 この打ち方だと少々緊張してもパターはスムーズに動いて大きな失敗はしなくなります。全英オープンなどプロの試合を見ててください。みんなこの打ち方をしてるでしょう。これをショルダーパットといいます。パットを肩で打つんです。是非試してください。

 ○ポイント2 オーバースピンでガンガン入れろ

面白い実験があります。ある人がボールとスピンの関係を調べようと次のようなことをしました。
パターのグリップを支点にしてヘッドを芝生すれすれに調整して、パターが振り子のように動くような装置を作りました。
そして芝生の上で実際にボールをいろんな位置から打ってみて、1M先のカップに入る確率を調べたのです。
最初にボールをヘッドの最下点より手前に置いて打った場合、カップに入った確率は約15パーセント、次にヘッドの最下点にボールを置いた場合、確率は約50パーセント、最後にヘッドの最下点よりカップよりにボールを置いた場合、なんと100パーセントカップインしたのです。

 つまりパターでボールを打つ時は最初の転がりからオーバースピン(進行方向に転がる回転)で打つと方向性が格段に上がるということなんです。プロがよくたまあしの長いパットをしていますよね。止まりそうで止まらないボール、あれがオーバースピンのパットなんですね。オーバースピンをかけると、芝目にあまり影響されない曲がりの少ないパットが打てて、「ヤマ」をかけずにカップを狙っていける、強気に打てるのでカップインする確率が数段上がります。これは絶対お勧めです。

 顔からパターを地面に吊るして最下点を決めてください。その最下点からカップ寄りにボール1~2個分のところにボールを置いてあとはいつものようにパットしてください。その時注意することは、体を動かしてボールに最下点を合わしにいってはだめですよ、あくまで最下点は最初に決めた目の下、パターは目の真下の最下点を通って上がりがけにボールをヒットする。

そして必ずボールを打った後、フォローをとる。私の場合、パターを引いた距離とフォローの距離を常に一緒にしています。パターは左右対称という感覚です。
これで第1転がりからきれいなオーバースピンがかかっておもしろいようにカップインします。「そんなにうまいこといくか・・・」そうおっしゃらずに、信じる者こそ救われる、先ずは挑戦することが大切ですぞ。

 ○ポイント3 目線をきるな

 ドライバー編でも言いましたが、特にショートパット(1M以内)を入れる時、目線が最も大事です。入れごろ、外しごろと言われる距離はだれでも不安になります。しかしゴルフに不安は絶対禁物。入るだろうか、はずれるだろうか、なんて思いだしたらもう必ずはずれます。そのことは以前アイアン編やパターの前半部分でお話したとおり。ここで考えることは結果がどうかということではなく、何をきっちりしなければならないか、ということです。物理の法則で習われたとおり、パターを目標にきっちりあわせて、真っ直ぐ引いて真っ直ぐ押し出せばボールは真っ直ぐ転がっていく。この法則を信じて一度カップにパターの方向を定めたら、後はカップを見ないで、自分が動かしているパターのヘッドが真っ直ぐ引けているか、ちゃんと芯に当たっているか、真っ直ぐに押し出しているかをしっかり自分の目で見届けること、これで前の項で述べた機械と同じ動きが作り出せて100パーセントカップインとなるわけなんです。これであなたもパターの名人の仲間入りです。

~ 結論 カップを見てもボールは入らない ~