勝海舟の真骨頂

4月12日、
咸臨丸でアメリカに行って半年後に帰国した勝海舟。
江戸城に呼ばれて、「お前はアメリカに行って何を見てきたのか?
お前は人に比べてものを見抜く力があるから、さぞかし何か
面白いものを見ただろう?」と老中(重要閣僚)に問われた。
「いやあ、アメリカといっても同じ人間のすることですから、
大した違いはありませんよ。」と言って帰ろうとする海舟に
老中は納得せず、「何でもいいから言ってみろ」と。
「しからば」と言って海舟は次のようなことを言った。
「さよう、少しばかり目につきましたのは、アメリカでは、
政府でも民間でも、およそ人に上に立つ者は、
それなりに怜悧(れいり、利口)でございます。
この点ばかりは、我が国と全く違うように思います。」
これが勝海舟の真骨頂だと思います。
       コラムニスト 田勢康弘の講演録から